ビタミンB1 水溶性ビタミン

ビタミンB1 水溶性ビタミン

働き

糖質をエネルギーに変えるためになくてはならない存在です。神経伝達や学習能力に関わります。

不足すると・・・

・朝起きられない、集中力不足、眠気、疲れやすい、生あくび、もの忘れなどのエネルギー不足症状が現れます。
中枢神経の障害として、眼球運動障害、歩行失調、意識障害、記憶力低下、知能障害、認知症、凶暴性などがみられます。
末梢神経の障害として、四肢のしびれ、知覚障害、運動麻痺、浮腫、循環器や自律神経の失調が生じます。
免疫力が低下し、風邪を引きやすくなったり、また治りにくくなります。

スポーツ選手では・・・

スポーツ選手はエネルギー代謝が増加するので、エネルギー産生に関わる補酵素であるビタミンB1、B2、ナイアシンの必要量は増加します。
またビタミンB群は水に溶けやすいビタミンであり、汗や尿中に失われやすく不足しやすい。ビタミンB群が不足すると、エネルギー代謝を滞らせ、早期の疲労や疲労回復の妨げの原因となるため、アスリートでは毎回の食事によって積極的な摂取を心掛ける必要があります。
菓子類などの糖分が多いもの、およびアルコール飲料や糖分を多く含んだ清涼飲料水などの飲みすぎは、糖代謝を亢進させ、ビタミンB1の消耗を増加させます。

摂り方

・ビタミンB1(豚肉、大豆、うなぎなど)とアリシン(ネギやニンニクなど)とマグネシウム(コンブやワカメなど)を同時に摂ると、ビタミンB1の代謝効率が良くなります。
・葉酸が欠乏するとビタミンB1の吸収が阻害されることがあります。検査数値でMCV(赤血球容積)が高いとき葉酸及びビタミンB12を補うと効果的です。

ビタミンB1を多く含む食品

うなぎ、たらこ、豚肉、ハム、グリーンピース、大豆、豆腐、玄米、ライ麦パン

ビタミンB1の食事摂取基準
推定平均必要量
個人では不足の確率が 50%であり,集団では半数の対象者で不足が生じると推定される摂取量であることから,この値を下回って摂取することや,この値を下回っている対象者が多くいる場合は問題が大きいと考える.
推奨量
個人の場合は不足の確率がほとんどなく,集団の場合は不足が生じていると推定される対象者がほとんど存在しない摂取量であることから,この値の付近かそれ以上を摂取していれば不足のリスクはほとんどないものと考えられる.
目安量
十分な科学的根拠が得られないため,推定平均必要量が算定できない場合に設定される指標であり,目安量以上を摂取していれば,不足しているリスクは非常に低い.したがって,目安量付近を摂取していれば,個人の場合は不足の確率がほとんどなく,集団の場合は不足が生じていると推定される対象者はほとんど存在しない.なお,その定義から考えると,目安量は推奨量よりも理論的に高値を示すと考えられる.一方,目安量未満を摂取していても,不足の有無やそのリスクを示すことはできない.

「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
使用期間:令和2年度から令和6年度の5年間

国民・健康栄養調査報告(令和元年度)によるビタミンB1の摂取量(平均値)

ビタミンB1の摂取量(平均値)

管理栄養士からの一言アドバイス

アスリートのように運動量が増える人ほど、糖質の必要量が増すので同じくビタミンB1の必要量も増えます。食事摂取基準はあくまで参考として、不足しないように気をつけてください。また、ビタミンB1を毎日適量摂取した子どもは、学習能力が高まったという研究結果もあります。普段、甘いものや清涼飲料水の多食多飲はビタミンB群の不足を招く可能性があります。基本の食事からエネルギーや栄養素を摂り、余分な糖分は摂りすぎないように気をつけてください。